塗料の粘度に影響の少ない光沢のコントロール

Orgasol®あるいはRilsan® D製品を、溶剤系塗料、水性塗料、UVコーティングに添加することで、光沢以外に他の特性を提供します。2つ以上のコーティングの特性・機能を改善したい場合に、Orgasol®あるいはRilsan® D製品の選択は、技術的かつ商業的に最適です。


ここでは、これらの製品を用いた光沢のコントロールに注目します。

Orgasol® は、艶消し剤やソフトな触感付与剤として使用されます

op-ratio-of-diemater-to-thickness-diagram-crop914x237.png

Orgasol®とRilsan® Dの材料は物理的に塗料性能の向上を付与するため、それらの形状を維持し、溶融または溶解しないように調整してください。光沢をコントロールする際、コーティングの乾燥膜厚 (DFT) と使用するOrgasol® の平均粒径とがほぼ同一、の場合に最も効率的に艶消し効果が得られます。Orgasol® の平均粒径がDFTよりも大きくなると、ソフトな質感が得られます。
基本的にOrgasol® の添加によりコーティングの光沢はサテン仕上げ (60度で測定した光沢度:30〜50) になります。
さらに光沢を下げたい場合は、Orgasol® とシリカを併用すると効果的です。  それぞれを1:1の比率で添加することで、さらに光沢を抑えられます。

 

多くのアプリケーションではOrgasol® またがRilsan® Dは2-5%添加すると他の添加剤と同様の効果が得られます。もし、グロスに影響なく耐スクラッチ (傷つき) 性と表面保護特性の向上をする場合、Orgasol® またはRilsan® Dを1.5%未満添加することによって達成できます。

Orgasol® を100%UV硬化コーティング塗料に艶消し剤として添加する場合

グラフは、DFTが7ミクロンのUVコーティング塗装で、Orgasol® 2001 UD NAT (粒径5ミクロン) あるいはOrgasol® 2001 EXD NAT 1 (粒径10ミクロン) の添加率と光沢度の関係をまとめたものです。
どちらもUVコーティングの光沢を下げています。 Orgasol® 2001 EXD が、シリカで同じ添加量を加えるよりも光沢を下げている点に注目です。さらに特記すべきことは、Orgasol® 添加率が重量ベースで6%を超えると光沢への影響が少なくなる点です。

op-gloss-vs-orgasol-concnetration-bar-chart-crop783x507.png

Orgasol® の添加で優れたマット仕上げ

op-good-matting-image-resize400x300-crop398x197.jpg

粒径/DFT(乾燥膜厚)の比が1:1のとき、最適なマット仕上げが得られます。

ちょこっとヒント

  • Orgasol® の添加量を少量から徐々に調整して、添加量を最適化します。
  • 異なる粒径のOrgasol® を組み合わせて、光沢をコントロールしてください。
  • 光沢度を60度での測定で30GU以下とするには、シリカとOrgasol® の組み合わせを推奨します。

Orgasol® による優れた手触り感の付与

Orgasol® はコーティング表面に特徴的な「手触り感」を付与する添加剤としても使用されています。5~60ミクロンの範囲で平均粒径を選択できるOrgasol® は、コーティングの膜厚とグレード選択による平均粒子径の比率を調整することで、滑らかな触感から粗目の手触り感へと変化させられます。このように、Orgasol® の特異な球形状と粒径分布幅の狭さにより、手触りの良さと滑り止め性を兼ね備えた、均一でユニークな表面質感が得られます。


Orgasol® とRilsan® Dの粒子形状

Orgasol®とRilsan® Dは、それぞれ製造工程が異なるため、コーティングに添加した際の表面質感は異なったものになります。Orgasol® は、重合プロセスで直接、造粒します。粉砕による粉末形成は行いません。
一方、Rilsan® Dは、重合して得られる塊を粉砕し、粉末形成します。電子顕微鏡写真を撮影すると、Orgasol®とRilsan® Dの形状の違いは明らかです。

Orgasol® の特徴
  • やわらかい手触り感を付与
  • 粒径分布の幅が狭い
  • ユニークな粒形状

op-orgasol-micrograph-for-texturing-page.jpg

Orgasol® 2002 ES5

Rilsan® Dの特徴
  • 砂のようにざらついた」「やすりのような粗い」触感
  • 粒径分布の幅が狭い
  • 不規則な粒形状

op-rilsan-d-micrograph-for-texturing-page-crop308x190.jpg

Rilsan® D NAT

Orgasol® もしくはRilsan® Dで表面の「手触り感」を形成

コーティング表面に「手触り感」をだすには、コーティングの乾燥被膜厚 (DFT) より大きな平均粒径のOrgasol® またはRilsan® Dを選択してください。添加したOrgasol® の粒径が最適ならば、「やわらかい触感」や「さらっとした触感」が得られます。添加したRilsan® Dの粒径が最適なとき、「砂のようにざらついた」または「やすりのような粗い」触感が得られます。

100%UV硬化コーティングへのOrgasol® の添加効果

Orgasol® とRilsan® Dは、添加対象のコーティングに求められる特性のうち2項目以上の改善が期待されているときに有効です。例えば、Orgasol® をUV硬化コーティングに添加すると、より柔らかな手触り感が得られます。 さらに、コーティングの艶消し効果が得られたり、コーヒーなどのシミに対する防汚染性を高めたりできます。しかも、他のコーティングの特性に悪影響を及ぼしません。

配合組成

成分

メーカー

重量 %

CN6510EU Sartomer 87.0
Orgasol® 3501 EXD NAT1 Arkema 4.3
Byk® 2008 Altana 0.4
Acematt® 3300 Evonik 4.0
Speedcure 73 Lambson 4.3

触覚特性:やわらかい手触り感

光沢度 (85°)

  • シリカのみの配合:34 UB
  • Orgasol® とシリカ:27 UB

物理的特性

  • Persoz硬度:155 s
  • 耐スクラッチ (傷付き) 性 (鉛筆硬度):7H

耐汚染性

  • Orgasol® 配合によるコーヒー染み耐性の発現
Top