Rilsan® PA11の成形加工
Rilsan®PA11には様々な粘度バリエーションがあり、主要な熱可塑性材料の成形技術による加工が可能です
- 射出成形
- 押出成形(キャストフィルム、インフレーションフィルム、シート、チューブ、ブロー成形など)
- 回転成形
- 複合化(オーバーモールド、共押出し)
- 3Dプリンティング
保管・取扱い
未開封の材料は再乾燥不要ですぐに使用できます
- 高湿を避け、40-50℃で保管してください
- 結露による吸湿を防ぐため使用の24時間前に材料を作業場所に移動させてください
- 保証期間は出荷後2年間です
- 開封後2時間を経過したペレットは再乾燥が必要となります
- 材料が残った場合は吸湿を防ぐため袋を閉じて次回の使用まで保管してください
乾燥条件
開封後2時間経過したペレットは、使用前に再乾燥してください。
乾燥の際には、効率的な乾燥を行うために、清潔で平坦な金属トレイをご使用ください。アルケマでは、酸化・変色を防ぎ、短時間で乾燥可能な真空乾燥機の使用を推奨いたします。適切に保守された除湿乾燥機も効果的です。除湿機能の無い空気循環型乾燥機では、酸化・変色のリスクが高くなります。推奨乾燥温度を超える温度での乾燥は、必ずしも乾燥時間の短縮にはつながらず、酸化や変色のリスクを高めます。
推奨パラメータ:80〜90℃で4〜8時間
射出成形
Rilsan® PA11のレオロジー特性により
- 他の熱可塑性エラストマー(特にTPU)と比較して加工温度が広範囲
- 薄肉部品(最小0.8 mm)の成形が可能
- 短いサイクルタイム
- 高いリサイクル可能性
- 正確な寸法制御につながる
推奨条件:
- ねじ:ノンリターンバルブ付き標準3ゾーン
- インジェクションノズル:シャットオフノズル
- 圧縮率:≥2.5
- L / D:≥15
射出成形条件
融点(℃):
Rilsan® PA11グレードを使用する場合、温度を供給ゾーンから、圧縮、計量ゾーンまで徐々に上げて、十分に均一な溶融物を生成する必要があります。
Rilsan® PA11 グレード |
温度 | |||
---|---|---|---|---|
ホッパー | 中央 | 先端 | ノズル | |
BMN | 210 | 225 | 240 | 230 |
BZM30 | 240 | 260 | 270 | 270 |
*Rilsan® PA11の優れた熱安定性により、推奨成形温度よりも高い温度(300℃まで)で加工も可能です。ただし滞留時間や材料の劣化に注意し、必要時以外は通常の推奨温度で成形して下さい。
金型温度(℃):
Rilsan® PA11の射出成形には、温調機能の付いた金型の使用を推奨します。 金型温度の制御は、成形品の外観、充填の容易性、離型性および収縮率に影響を及ぼします。
一部の例外を除いて、非強化のRilsan® PA11グレードには、30〜40℃の金型温度が一般的です。 ただし、薄肉、表面積が大きい、または複雑な形状等の場合には、充填性を高めるために高めの金型温度が推奨されます。
グラス繊維強化グレードでは、表面を平滑かつ高光沢に仕上げるために、90〜100℃の金型温度が必要です。
押出条件
温度設定は装置により異なります。以下の情報は一例で、押出の速度や、使用するRilsan® PA11のグレードにも依存します。例えば滑剤を使用しない場合は、特に押出機のフィードゾーンにおいてより高めの温度を必要とします。
融点(℃):
Rilsan® PA11 グレード |
温度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
ホッパー | 供給ゾーン | 圧縮ゾーン | 計量ゾーン | 押出ヘッド | ダイ | |
BESNO P40 TL | 60 | 175 | 220 | 235 | 230 | 220 |
BESNO P20 TL | 60 | 180 | 225 | 240 | 230 | 220 |
押出 (フィルム・パイプ)
押出では、気泡やその他の欠陥を防止し、また安定した供給と可塑化のために、Rilsan® PA11ペレットを0.1%以下の水分率で使用することが必要です。
スクリューねじ:機能と性能
Rilsan® PA11の加工に適したスクリューは、次の機能を満たしている必要があります。
- ペレットの安定した供給
- 効率的な可塑化と脱気
- 十分な背圧による溶融物の十分な均質化
長い圧縮ゾーンを持つスクリューは圧力の変動を最小限に抑え、結果として吐出の安定につながります。
圧縮率に加え、スクリューとバレルとの間のクリアランスもまた、Rilsan® PA11に適したスクリューを選択する際の重要なファクターです。
チューブ押出
Rilsan® PA11チューブ押出には、減圧下でキャリブレーターによりチューブの形状を決定し、連続的に循環する冷却水でパイプを効率的に冷却することのできる水タンクが必要です。 減圧のレベルは、50~400mbarの範囲で変えることができ、チューブの外径を調整するために使用されます。 Rilsan® PA11は押出加工中の粘度上昇により、PA12とは異なる独自の押出特性を備えています。 これは、溶融強度が重要となる大口径押出での重要なメリットです。
回転成形
Rilsan® PA11のレオロジー特性(流動性)は、回転成形技術を使用する用途、特に金属インサートを含む製品の製造に適しています。
回転成形は、射出成形品に見られるような製品中の残留応力を誘発しません。これは、回転成形プロセスにおいて、材料が押出スクリューや射出成形機による強い混合や圧縮を受けないことに起因します。また回転成形は、射出成形よりも寸法の大きい製品の製造に適しています。
成形技術
Rilsan® PA11グレードの回転成形には、標準的な構造(スチール、アルミ、銅めっきなど)の金型が必要で、ベントがあることも重要です。 完成したRilsan® PA11の製品を金型から取り外すのは容易ですが、問題が発生した場合には、フッ素コーティング、熱硬化性ワニスの塗布、またはシリコーンまたは他の同等の製品で金型キャビティの表面を処理することにより改善が可能です。
回転成形パラメータ
Rilsan® PA11の成形を最適化するには、材料を260℃〜300℃に加熱することが求められます。加熱時間はオーブンの温度、金型の厚さおよび熱伝導率、最終部品の肉厚によって異なります。
回転速度:
2つの軸に沿った金型の回転速度は、型の寸法およびデザインに依存します。これらのパラメータの選択によって材料の厚さの均一性が決まり、試作を経て決定する必要があります。
冷却:
冷却は、加熱時間(空気および水の温度、金型の熱伝導率および厚み)と同じパラメータに依存します。製品の変形または表面の欠陥を防止するために、第1段階では急冷を避ける必要があります。したがって空気による予備冷却が推奨され、一般的に空気-水-空気の冷却サイクルが最適です。またこれは、急激な温度変化を防止でき、金型の長寿命化につながります。
着色、機械加工、リサイクル、…
Rilsan® PA11の着色、機械加工、リサイクル、接着、溶着、その他の加工技術の詳細については、当社の総合カタログをダウンロードしていただくか、弊社までお問合せ下さい。