ZEBRA（Zero wastE Blade ReseArch）プロジェクトは、風力タービンブレードのリサイクルと循環型経済における大きな飛躍を示すもので、このコラボレーションは、熱可塑性樹脂ブレードの完全リサイクルにおける画期的な進歩を実証し、環境面でも経済面でも大きな利益をもたらすものです。
先進企業のコンソーシアムがイノベーションを推進
ZEBRAプロジェクトは、フランス技術研究所（IRT Jules Verne）が主導するユニークなパートナーシップです。業界のリーダーであるアルケマ（樹脂サプライヤー）、Owens Corning（ガラス繊維サプライヤー）、LM Wind Power（ブレードメーカー）、SUEZ（解体・廃棄物処理）、CANOE R&Dセンター（リサイクル技術）、ENGIE（ライフサイクル分析）が参加しています。
各企業は、クローズドループリサイクルプロセスの開発において重要な役割を果たしました。
- アルケマ：熱分解による リサイクルElium® モノマーの生成（英語サイト） とその検証を行い、子会社のBostik社と共に、Elium®と共にリサイクルされるブレードアッセンブリー用の革新的な接着剤を開発し、工業規模の実施への道を開拓。
- Owens Corning：パイロット・スケールでガラス繊維の回収に成功し、同社のサステナ®製品ラインの生産工程への再導入を可能に。
- LM Wind Power：アルケマのElium®樹脂とOwens CorningのUltrablade®ファブリックを使用して2つの風力タービンブレードを製造。
- SUEZ：ブレードの加工に切断と粉砕の専門技術を提供。
- CANOE R&Dセンター：製造ブレードとカーボンブレードの廃棄物のリサイクルを最適化し、さらにメカニカルリサイクルを通じて廃棄物の流れを再利用する方法を開発。
- ENGIE：包括的なライフサイクル分析を実施し、クローズドループZEBRAブレードの環境面でのメリットを実証するとともにその経済性を検証。
風力エネルギーの持続可能な未来
ZEBRAプロジェクトは、風力タービンのブレードと製造廃棄物からElium®樹脂とUltrablade®ファブリックをリサイクルし、使用可能な素材に再生することに成功しました。このクローズドループプロセスは、風力エネルギー産業において使用済みブレードの増大する課題の対策として一石を投じるものです。
- リサイクルElium®モノマー：アルケマは、熱分解プロセスで75%以上の収率を達成し、リサイクル樹脂の工業規模生産への道を開きました。
- 回収ガラス繊維：Owens Corningがガラス繊維の回収に成功し、再溶解してSustaina®製品ラインに再統合しました。
- ライフサイクルとコスト分析：ENGIEの調査により、製造から使用済みまでのクローズドループリサイクルシステムを想定した場合、ZEBRAブレードの環境面での大きなメリットと経済性が確認されました。
Elium®熱可塑性樹脂、Bostikの相溶性の高い接着剤、Ultrablade®ファブリックを使用したZEBRAブレードは、従来の熱硬化性樹脂システムと比較して、最高のクローズドループ・リサイクル・ソリューションをもたらしています。リサイクル施設の運営コストと投資が大幅に削減され、リサイクル事業に関連するCO2排出量も削減されます。これらの結果、ZEBRAブレードのクローズドループ・リサイクル・ソリューションは、経済的にも環境的にも実行可能な選択肢となっています。
CANOE（英語外部サイト） は、ポリマーの配合、繊維強化複合材料の製造とリサイクルプロセスの開発、再生繊維の再加工、SHMのためのセンサーの統合、材料の特性評価と非破壊検査を専門とするフランスの研究開発プロバイダーです。CANOEは、設計、プロトタイピングからプレシリーズ、工業化支援まで、複合部品の製造チェーン全体の価値にわたって企業に研究開発サービスを提供しています。
ENGIE（英語外部サイト）は、低炭素エネルギーとサービスにおける世界的なキープレイヤーです。9万7,000人の従業員、顧客、パートナー、ステークホルダーとともに、エネルギー消費量の削減と環境に優しいソリューションを通じて、カーボンニュートラル経済への移行を加速させるべく日々邁進しています。ENGIEは、その目的ステートメントに基づき、主要事業（ガス、再生可能エネルギー、サービス）を基盤として競争力のあるソリューションをお客様に提供することで、経済的業績と人々や地球への好影響を両立させています。（2023年の売上高：826億ユーロ。）グループはパリとブリュッセルの証券取引所（ENGI）に上場しており、主要な金融指数（CAC40、ユーロネクスト100、FTSEユーロ100、MSCIヨーロッパ）および非金融指数（DJSI World, Euronext Vigeo Eiris - Europe 120 / France 20, MSCI EMU ESG screened, MSCI EUROPE ESG Universal Select, Stoxx Europe 600 ESG-X）に採用されています。
IRT Jules Verne（英語外部サイト）は、製造業に特化した産業研究センターです。製造装置メーカーやインテグレーターと密接に協力しながら、航空、造船、自動車産業、再生可能海洋エネルギーの4つの戦略的産業分野に対応しています。IRTチームは、製造分野における最高の産業および学術リソースと手を携えています。IRTの使命は、製造プロセスにおける破壊的技術を創造することにより、フランスの戦略的産業部門の競争力を向上させることです。技術革新と工場への技術移転を加速させることを使命として、スケール1実証機までの包括的なソリューションを提供するため、幅広い最新鋭の専用機器を設置・活用しています。
IRT Jules Verneは、ANR-10-AIRT-02の番号のもと、未来投資プログラムに基づく国家援助を受けています。
GE Vernovaの一部門である LM Wind Power（英語外部サイト）は、デンマークに本社を置き、陸上および洋上風力タービン用の高品質ローターブレードの開発・製造、ブレードサービスソリューションとグローバルな製造拠点を提供する、業界をリードする企業です。LM Wind Powerは、1978年以来、27万枚以上のブレードを製造しており、これは1億5,200万kWの設置容量と3億3,200万トンのCO2排出量削減に相当します。 サステナビリティの一環として、LM Wind Powerは2018年に風力発電業界初のカーボンニュートラル企業となり、2030年までに 廃棄物ゼロのブレード（英語外部サイト）の製造に取り組んでいます。
Owens Corning（英語外部サイト）は、材料の革新を通じて持続可能な未来を築くことを約束する、建築・建設資材のグローバルリーダーです。屋根材、断熱材、ドア、複合材の4つの事業を統合し、耐久性、持続可能性、エネルギー効率に優れたソリューションを提供することで、独自の材料科学、製造、市場知識を活用し、お客様の勝利と成長を支援しています。世界31カ国に25,000人以上の従業員を擁し、お客様と株主のために価値を創造し、私たちが働き生活する地域社会に変化をもたらすことに専心しています。米国オハイオ州トレドを拠点として1938年設立、2023年の売上高は97億ドル。
SUEZ（英語外部サイト）は環境サービスの大手企業です。約160年にわたり、水、廃棄物、大気の質といった必要不可欠なサービスの管理において、地域社会や産業企業を支援してきました。
その結果、SUEZでは世界中で6,600万人分の飲料水を生産し、年間200万トンの二次原料を回収、廃棄物から3.1TWhの再生可能エネルギーを生み出しています。SUEZでは、エコロジーの転換と気候変動の課題に対する継続的な取り組みにおいて、3万5,000人の従業員（特にフランス、イタリア、中央ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリア）の専門知識とコミットメントに基づき、すべてのお客様に高付加価値でカスタマイズされた環境ソリューションを提供しています。例えば、SUEZの専門知識により、顧客は420万トンのCO2排出を回避し、カーボンフットプリントと気候への影響を改善することができます。売上高は約70億ユーロで、その専門知識と技術革新能力に支えられています。
SUEZには力強い成長の見込みがあります。SUEZは、MeridiamとGIP（それぞれ40％出資）、Caisse des Dépôts et Consignations Group（20％出資、CNP Assurancesが8％出資）からなる強固な投資家コンソーシアムのもと、フランス国内および国際的な戦略的開発計画を推進しています。