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なぜリルサン® PA11・ファイン・パウダーのコーティングの前に表面処理をするのですか?

表面の前処理は、保護すべき基材 (被塗体) にリルサン® PA11・ファイン・パウダーを塗布する前に必要な工程です。この前処理の目的は2つあります。一つ目は、塗装前の表面から不純物を取り除くこと。二つ目は、長期的な性能と耐腐食性を得るために、接着促進プライマー層を塗布します。 コーティングの寿命は、前処理の品質に大きく依存します。実際に、弊社に問い合わせいただく塗装不良の大半は、不適切な前処理に起因しています。 

ジョブコーター (塗装業者) は、金属部品の性質と形状、およびその部品がおかれる環境条件 (熱、化学、大気環境) を考慮して、機械的あるいは化学的といった最適な前処理方法の選択をします。リルサン® PA11・ファイン・パウダー・コーティングのプライマーには、Rilprim®とPrimgreen®の2種類があり、どちらも液体です。 

前処理プロセス 

脱脂 

金属部品の製造過程で表面に蓄積した脂肪分を除去するための重要なステップ。アルカリ性、中性、酸性の製品を使用し (除去するグリースの性質と金属の性質に応じて) 、スプレーや浸漬で塗布します。 また、より汎用的な溶剤 (トリクロロエチレン、パークロロエチレン) を用いても構いません。大型の鉄鋼 (または鉄合金) 部品からグリースを除去するために、金属構造が許す限り、高温熱分解を利用できます。その他、マニュアルで洗浄が適切な場合もあります。 なお、部品表面にグリースや汚染がないことを確認するには、目視検査が有効です。 

グリットブラスト 

この工程は脱脂工程に続くもので、部品表面に存在するすべての異物 (炭素不純物や金属酸化物など) を除去します。 表面に油やグリースがなくなったら、次の工程に進むことができます。 

機械的除去 

研磨剤で部品表面をブラストします。 鉄系金属にはタイプG17の角型鉄粉またはコランダム、アルミニウム合金にはコランダムが推奨されます。ブラストエアーは乾燥し、油分がないことが望ましい。 部品がグリットブラストされたら、遅滞なく (通常は8時間以内に) コーティングするか、表面に酸化物が形成されるのを防ぐために一時的に乾燥させておくとよいでしょう。 表面腐食の兆候が現れた場合は、コーティングを施す前にグリットブラスト工程を繰り返す必要があります。 

エッチング (化学的除去) 

部品に強酸性溶液 (硫酸、塩酸、またはリン酸) を浸漬またはスプレーし、安定に制御された薬液槽で連続的にすすぎ、乾燥させる方法。Rilsan® PA11コーティングおよびその塗装工程に適合する限り、その他の化学処理 (電気めっき、リン酸塩処理、クロメート処理など) も使用できます。 

仕様 

表面処理後、清浄度はEN ISO8501-1に定義されるSa21 / 2以上でなければならず、EN ISO 4287に従って測定した粗さRzは、リルサン®・ファイン・パウダーの流動浸漬塗装をする場合は40~90μm、静電塗装する場合は20~40μmでなければなりません。用途によっては、要求される特性を得るために表面粗さを調整する必要があります。 

プライマーの塗布 

プライマー層は、基材 (被塗体) とRilsan® 塗膜の間に強い接着力をもたらす、化学結合を形成します。 また、万が一塗膜が損傷した場合でも、バックアップ的に腐食に対する耐久性を確保することができます。 アルケマは、溶剤型 (Rilprim®) および水性 (Primgreen®) の液体プライマーを提供しています。水性プライマー、Primgreen® は揮発性有機化合物 (VOC: Volatile Organic Compounds) の含有量が少なく、特に環境に配慮した製品で、使いやすさにも優れています。 アルケマのプライマーを取り扱う際は、製品安全データシートと液体塗料の使用に関する現行の規制をご参照願います。 

流動浸漬塗装用のプライマー 

Primgreen® LAT12035は、従来のスプレー技術 (圧縮空気または静電) を使用してスプレーガンで塗布できる一液型製品です。 通常の温度と湿度条件下では、LAT12035の粘度は製品を希釈する必要がないほどです。 液体に浸漬して塗布することも可能です。この場合、塗布前に製品を水/ブチルグリコール (3:1) 混合液で、製品/希釈剤の容量比が70/30になるように希釈する必要があります。この方法は非常にデリケートですので、詳細についてはアルケマのテクニカルサービスにお問い合わせください。

表面全体に、液だれのない連続的で一貫した厚さのフィルム (硬化後の膜厚: 8 ~ 12 µm、エアスプレーでの湿潤膜厚: 100 〜 150 μm) を塗布する必要があります。  オーブンで硬化させる前に、プライマーのデータシートを参照し、適切な乾燥時間を確認してください。プライマーの塗布品質と被塗体の予熱条件は、プライマーの硬化の質 (硬化後の褐色を特徴とする) に影響し、Rilsan® コーティングの塗膜特性を左右します。 

最適な接着を実現するために必要な硬化条件 (時間/温度) は、被塗体の材質と厚さによって異なります。 あらゆる種類の被塗体について、ジョブコーター (塗装作業者) は、使用可能な装置に基づいて、これらの条件を決定しなくてはなりません。 

右のグラフは、厚さ6mmの金属部品にPrimgreen® LAT12035を使用した場合の最適な範囲を示したものです。 この範囲は、予熱とオーブンの温度と時間のパラメータの関数です。規格のNFT58-112による接着特性が3以上となるのは、緑色で着色された領域です。Primgreen® LAT12035は、50°C未満の水と接触する用途に推奨します。 それ以上の温度では、Rilmprim® P23V40を推奨します。 

静電粉体塗装用プライマー 

Rilprim® LES201/ 104Bは、従来のスプレーや静電スプレーによる塗布に適しています。この溶剤ベースの2液製品は、樹脂 (Rilprim® LES201) とその希釈剤 (Rilprim® 104B) を50/50の体積比で混合したものです。  このプライマーアンダーコートは、薄塗り (乾燥塗膜厚5 〜 8μm) で、静電スプレーで塗布するリルサン® PA11・ファイン・パウダーと相性が良いです。 Rilsan® ESまたはESYパウダーが溶融する際に、プライマーの固化が進行します。 Rilprim® LES201はCr+6を含まない製剤です。 優れた防蝕性 (塩水噴霧に2000時間、または沸騰水中で2000時間さらした後でも、接着力が失われたり、腐食クリープが発生しない) を実現できます。 本製品は、鉄鋼の最も要求の厳しい用途に推奨されますが、Primgreen® LAT12035が推奨される非鉄基板には推奨されません。 

*日本では化審法により、上記のプライマー、 Rilprim® LES201、 Rilprim® 104Bは輸入できません。 Primgreen® LAT12035を推奨しています。